機密捜査官J File-7 三姉妹を救出せよ
第20章 ≪三姉妹≫




亜希は本当に気が変になってしまいそうだった。
昨日まで普通に話しをしていた妹たちが、吊るされて苦しみのあまり失神していくなんて・・・・。
しかし。亜希たちがこれで許されるはずもなかった。

男が近づいてきて言った。

もう吐いたらどうだ。

亜希はうつむいて黙っていた。




言わないのなら仕方がない。
お前が言うまでこいつらを責め続ける。
どうなっても知らんぞ。

お・・・お願いします・・・・
もう・・・私たちを・・・ゆるして




男はそれには答えず、失神している真希に鞭を振るった。

びしっ!う!
びしっ!う!
びしっ!うあああっ!

真希は何度こうやって鞭で意識を回復させられたのだろう。
もう身体中の痛みで、意識は半分朦朧としていた。




妹も起こせ。

びしーっ!あっ!
びしーっ!ああ・・・・
びしーっ!ぎゃあああっ!

いたい・・・いたい・・いたい・・・

強制的に意識を回復させられた有希は、身体中の痛みに、いつまでもうなされていた。




朦朧としていた真希は、有希の叫び声を聞いていても、その声が自分の妹のものだと理解するまでに少し時間がかかった。

あああ・・・・有希・・・・・
やっぱり・・・ここに・・・・・

真希は、無残な妹のその姿に、もう全身の力が抜けていくようだった。




さて。お姉さん。
かわいい妹たちの泣き叫ぶ姿をもっと見たいか?

亜希は泣きながら言った。

お願いします。
もう・・・やめて・・・・・・
おねがい・・・・・・・




ということは。続けるって事か。
やれやれ。仕方がないか。
お前たち。このお姉さんが正直に言うまで、妹たちを責め続けてやれ。

一本鞭を持った男が、有希の方に近づいていった。

だめ!やめて!責めるなら私を!私を責めて!




しかし、男は亜希の叫びを聞き流して有希に言った。

いつまでもこの鞭で打ってやる。

いや・・・・おねがい・・・です・・・・

有希は恐怖のあまり身体中が震えていた。

もう・・・その鞭は・・・いや・・・・




亜希のそばにいた男がうなずいた。

いやあああああっ!

やめて!

有希と亜希が叫ぶのが同時だった。

びしーっ!ぎゃああああああっ!




男はもう一人の男に言った。

そいつも責め続けろ!

真希のそばの男が鞭を振り上げた。

だめえっ!

亜希が叫んだが、鞭は容赦なく振り下ろされた。




びしーっ!あう!いやああっ!

うなだれていた真希は、いきなり打たれた鞭の激痛に、身体が弾け飛ぶように、苦しんだ。

それ、どんどん行け!

びしーっ!ひぎゃああっ!

有希にも鞭が飛んだ。




びしーっ!やああっ!

真希が叫ぶ。

びしーっ!ぐあああっ!

有希が苦しむ。

2人の妹に嵐のように鞭が振り下ろされる。




やめてーっ!

亜希が叫んだが、2人の妹への鞭打ちは止まらない。

吐くか!

男が聞いたが、亜希は言葉が出なかった。
亜希は涙が止まらなかった。
自分が鞭で打たれているよりもつらかった。

もう限界・・・話してしまおう・・・・・・




亜希がそう思ったとき、息も絶え絶えのはずの真希が叫んだ。

びしーっ!うぎゃあっ!
おねえちゃん!
びしーっ!くああっ!
言っちゃ!
びしーっ!いやああっ!
だめえっ!




そして、有希も。

びしーっ!ひぎゃああっ!
そうよ!
びしーっ!ぎゃああっ!
だめ!
びしーっ!うああああっ!
だめよ!




しかし、降り注ぐ鞭の連打に、2人の妹はそれ以上言葉を発することはできなかった。

びしーっ!ぎゃああっ!
びしーっ!ひぎゃああっ!
びしーっ!うがあああっ!
びしーっ!ぎゃあああっ!

ただ泣き叫ぶだけだった。




びしーっ!うぎゃああっ!
びしーっ!ぎゃああああっ!
びしーっ!ふぎゃああっ!
びしーっ!いぎゃああああっ!

2人への連続鞭はいつまでも続いた。
まさに言うまで終わらない拷問地獄だった。




びしーっ!うぎゃっ!
びしーっ!ああっ!

泣き叫ぶ妹たちの声ももう、力なく響いていた。
連続鞭打ちは100を超えただろう。
亜希はもうこれ以上妹たちの泣き叫ぶ声を聞いていられなかった。

もう・・・終わりに・・しよ・・・・

亜希は心に決めた。






言う!言うわ!言うからもうやめて!

びしーっ!ぎゃっ!あ!あうん・・・

びしーっ!ぎゃあっ!あ!あ・・・・

亜希が叫ぶのと真希と有希が激痛のあまり意識を失うのとが、同時だった。
亜希も全身の力が抜けてがっくりとうなだれた。

その時。




J7理紗が先導した警官隊が部屋になだれ込んできた。
3人姉妹が地獄の苦しみに耐えて耐えて耐え抜いた、長い長い1日が終わった。

父親も無事保護され、事件は解決した。
この組織は細菌テロでの大量殺戮を計画していたが、姉妹の父親に情報が漏れたため実行が遅れていた。姉妹たちが封筒のありかを話していたら、テロは決行され、何千、いや何万という人の命が失われていただろう。姉妹は父親だけでなく、多くの命を救ったのだ。

ところで1ヵ月後、身体と心の傷が癒えた3人が、機密捜査官のメンバーに加わった事実は誰も知らない。


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