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亜希は本当に気が変になってしまいそうだった。 昨日まで普通に話しをしていた妹たちが、吊るされて苦しみのあまり失神していくなんて・・・・。 しかし。亜希たちがこれで許されるはずもなかった。 男が近づいてきて言った。 もう吐いたらどうだ。 亜希はうつむいて黙っていた。 |
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言わないのなら仕方がない。 お前が言うまでこいつらを責め続ける。 どうなっても知らんぞ。 お・・・お願いします・・・・ もう・・・私たちを・・・ゆるして |
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男はそれには答えず、失神している真希に鞭を振るった。 びしっ!う! びしっ!う! びしっ!うあああっ! 真希は何度こうやって鞭で意識を回復させられたのだろう。 もう身体中の痛みで、意識は半分朦朧としていた。 |
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妹も起こせ。 びしーっ!あっ! びしーっ!ああ・・・・ びしーっ!ぎゃあああっ! いたい・・・いたい・・いたい・・・ 強制的に意識を回復させられた有希は、身体中の痛みに、いつまでもうなされていた。 |
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朦朧としていた真希は、有希の叫び声を聞いていても、その声が自分の妹のものだと理解するまでに少し時間がかかった。 あああ・・・・有希・・・・・ やっぱり・・・ここに・・・・・ 真希は、無残な妹のその姿に、もう全身の力が抜けていくようだった。 |
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さて。お姉さん。 かわいい妹たちの泣き叫ぶ姿をもっと見たいか? 亜希は泣きながら言った。 お願いします。 もう・・・やめて・・・・・・ おねがい・・・・・・・ |
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ということは。続けるって事か。 やれやれ。仕方がないか。 お前たち。このお姉さんが正直に言うまで、妹たちを責め続けてやれ。 一本鞭を持った男が、有希の方に近づいていった。 だめ!やめて!責めるなら私を!私を責めて! |
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しかし、男は亜希の叫びを聞き流して有希に言った。 いつまでもこの鞭で打ってやる。 いや・・・・おねがい・・・です・・・・ 有希は恐怖のあまり身体中が震えていた。 もう・・・その鞭は・・・いや・・・・ |
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亜希のそばにいた男がうなずいた。 いやあああああっ! やめて! 有希と亜希が叫ぶのが同時だった。 びしーっ!ぎゃああああああっ! |
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男はもう一人の男に言った。 そいつも責め続けろ! 真希のそばの男が鞭を振り上げた。 だめえっ! 亜希が叫んだが、鞭は容赦なく振り下ろされた。 |
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びしーっ!あう!いやああっ! うなだれていた真希は、いきなり打たれた鞭の激痛に、身体が弾け飛ぶように、苦しんだ。 それ、どんどん行け! びしーっ!ひぎゃああっ! 有希にも鞭が飛んだ。 |
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びしーっ!やああっ! 真希が叫ぶ。 びしーっ!ぐあああっ! 有希が苦しむ。 2人の妹に嵐のように鞭が振り下ろされる。 |
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やめてーっ! 亜希が叫んだが、2人の妹への鞭打ちは止まらない。 吐くか! 男が聞いたが、亜希は言葉が出なかった。 亜希は涙が止まらなかった。 自分が鞭で打たれているよりもつらかった。 もう限界・・・話してしまおう・・・・・・ |
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亜希がそう思ったとき、息も絶え絶えのはずの真希が叫んだ。 びしーっ!うぎゃあっ! おねえちゃん! びしーっ!くああっ! 言っちゃ! びしーっ!いやああっ! だめえっ! |
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そして、有希も。 びしーっ!ひぎゃああっ! そうよ! びしーっ!ぎゃああっ! だめ! びしーっ!うああああっ! だめよ! |
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しかし、降り注ぐ鞭の連打に、2人の妹はそれ以上言葉を発することはできなかった。 びしーっ!ぎゃああっ! びしーっ!ひぎゃああっ! びしーっ!うがあああっ! びしーっ!ぎゃあああっ! ただ泣き叫ぶだけだった。 |
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びしーっ!うぎゃああっ! びしーっ!ぎゃああああっ! びしーっ!ふぎゃああっ! びしーっ!いぎゃああああっ! 2人への連続鞭はいつまでも続いた。 まさに言うまで終わらない拷問地獄だった。 |
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びしーっ!うぎゃっ! びしーっ!ああっ! 泣き叫ぶ妹たちの声ももう、力なく響いていた。 連続鞭打ちは100を超えただろう。 亜希はもうこれ以上妹たちの泣き叫ぶ声を聞いていられなかった。 もう・・・終わりに・・しよ・・・・ 亜希は心に決めた。 |
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言う!言うわ!言うからもうやめて! びしーっ!ぎゃっ!あ!あうん・・・ びしーっ!ぎゃあっ!あ!あ・・・・ 亜希が叫ぶのと真希と有希が激痛のあまり意識を失うのとが、同時だった。 亜希も全身の力が抜けてがっくりとうなだれた。 その時。 |
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J7理紗が先導した警官隊が部屋になだれ込んできた。 3人姉妹が地獄の苦しみに耐えて耐えて耐え抜いた、長い長い1日が終わった。 父親も無事保護され、事件は解決した。 この組織は細菌テロでの大量殺戮を計画していたが、姉妹の父親に情報が漏れたため実行が遅れていた。姉妹たちが封筒のありかを話していたら、テロは決行され、何千、いや何万という人の命が失われていただろう。姉妹は父親だけでなく、多くの命を救ったのだ。 ところで1ヵ月後、身体と心の傷が癒えた3人が、機密捜査官のメンバーに加わった事実は誰も知らない。 |
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