機密捜査官J File-7 三姉妹を救出せよ
第7章 ≪亜希≫ 吊り鞭打ち




有希が鞭の苦痛に泣き叫んでいる頃、亜希は両手を縛られて天井に吊り上げられようとしていた。
亜希は、手首の痛みで意識を取り戻した。

ああ・・・・あ・・・・
な・・なに?

吊り上げられていく自分に、亜希は呆然としていた。

い・・・いや・・・・・

亜希は足の先がようやく着くぐらいまで高く吊り上げられた。
手首がきりきりと痛む。





さて、そろそろ素直に吐く気になったかな?

亜希はもうどうしていいかわからなかった。

あの苦しみは・・・もういや。
でも、自白したら、おとうさんの命が危ない・・・
亜希。言っちゃだめよ。絶対。

自分にそう言い聞かせた。




わたし・・・何ももらってないんです。
本当です。信じて・・・・

そうか。では、今度はそのすらりと伸びた身体に聞いてみよう。
覚悟はいいな?

男はそう言って鞭を振り上げた。

い・・いやあああああっ




びしっ!ううっ!

鞭が亜希の身体で鋭い音を立てた。
薄い白衣一枚では、鞭の痛みを和らげるには全く役に立たなかった。
素肌と変わらない痛みを受けて、亜希は苦しみのうめき声を上げた。

どうだ、痛いか。
言わないならどんどん行くぞ。




びしっ!いたっ!
びしっ!あうっ!
びしっ!ああっ!

鞭で打たれるたびに鞭から逃れようとするが、手首で吊り上げられている亜希はどこにも逃げようがなかった。
亜希は次から次へと襲い来る鞭の痛みにただ苦しむだけだった。




まだまだ!

びしっ!はううっ!
びしっ!くああっ!
びしっ!いやああっ!

胸、腰、お腹。
鞭は情け容赦なく亜希に襲いかかる。
焼け付くような痛みが身体のあちこちで亜希を苦しめる。




びしっ!はああっ!
びしっ!きゃああっ!
びしっ!あうっ!

いつになったら終わるの。

亜希のそんな想いとはまったく関係なく、男は思い切り亜希の身体に鞭を振るった。
痛さで涙がとめどなくあふれてくる。




もっとだ!

びしっ!があっ!
びしっ!いたっ!
びしっ!ふああっ!

鞭の痛みにのけぞって苦しみ悶える亜希。
しかし、亜希は苦痛に必死で耐えていた。
もう30は続いただろうか。男は亜希を連打していた鞭の手を止めた。





どうだ、痛いか。もう吐いたらどうだ?

はぁ・・はぁ・・はぁ・・はぁ・・

亜希はいつまでも苦しんでいた。

あああ・・・いたい・・・・・・

痛かったら言うんだ!




あああ・・・ほんとうなんです・・・・
・・・・わたしは・・・なにも・・・・・
・・・・もらってない・・・・・・

ふーん。そうか。かなり強情だな。
じゃ、吐くまで鞭で打たれてみるか?




亜希はその言葉に呆然となった。

自白するまでこの痛みが続く?
そんな・・・・・・

そんなこと、とても想像すらできなかった。
真っ暗な絶望の中で、亜希はもうだめかもしれないと思った。




どうだ?言うか?
それとも、いつまでも鞭で打たれ続けるか?

あああ・・・・・・私・・・・・
きっともう耐えられない。
おとうさん・・・・・・・・
でも、亜希、もう少し、がんばるからね。




ほんとに・・・しらない・・・・・・
びしっ!あうっ!

言い終わらないうちに、亜希の身体に鞭が飛んできた。

あああ・・・・いたい・・・・・・
もう・・・やめて・・・・・




やめてほしければ本当のことを吐け!

びしっ!ああっ!
びしっ!くああっ!
びしっ!ああうっ!

また、鞭の連打が始まった。
亜希は泣き叫んだ。
でも、どんなに泣いても叫んでも、決して許されることはない。




びしっ!はぐうっ!
びしっ!いやああっ!
びしっ!あああっ!

身体中に鞭の痕が幾筋も刻まれていた。
あまりの鞭の痛みに、脚は痙攣し、亜希の身体はとっくに限界を超えていた。
それでも鞭が亜希の身体を責めさいなむ。




びしっ!あううっ!
びしっ!ああっ!
びしっ!ふううっ!

またひとしきり亜希を鞭で連打すると、男は手を止めた。

どうだ、もう言ったらどうなんだ?

はぁ・・はぁ・・はぁ・・はぁ・・

亜希はもう、もう限界だった。




おとうさん・・・・あああ・・・
もういいでしょう・・・・

もう話してしまおう。真剣にそう思った。

あああ・・・・でも・・・・
亜希はかろうじて口を開くのやめた。

ふん。いい根性だ。
だが、今、お前たちの家を捜索しているから、それで何か見つかれば、お前たちは用なしだがな。




それを聞いて、亜希は、思わずびくっと反応した、一気に目が覚める思いだった。
私がもらった封筒は病院の絶対見つからない場所にしまってあるから大丈夫だけど・・・
今、「お前たちは用なし」って言ったわね。と言うことは、真希や有希もここにいるの?????

・・・・ああ。
・みんな・・・・・ごめんなさい。
私、自白しようとしてた・・・




亜希は少ししっかりとした口調で、言った。

わたし・・・ほんとうに・・・しらない・・・

男はその口調に少したじろいた。

そうか!
じゃ、約束どおり吐くまでこの鞭で打ってやる。





どんなことがあっても言わない。亜希は、そう、覚悟を決めた。
みんながんばって耐えているのよ。だから、亜希も耐えるのよ。
亜希は、自分に言い聞かせた。

男が鞭を高く振り上げた。
亜希は身を固くして、鞭を待った。


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